■税制改正大綱が公表される！
昨年１２月１４日に、自民党・公明党による、平成３０年度税制改正大綱が公表されました。
新聞では、年収８５０万円以上のサラリーマンは、給与所得控除が縮小され、増税となるのが話題になりました。
また、あまり注目されませんでしたが、この大綱のなかで、金融所得への課税についても、次のように記載されています。
「金融所得に対する課税のあり方については、家計の安定的な資産形成を支援するとともに税負担の垂直的な公平性等を確保する観点から、関連する各種制度のあり方を含め、諸外国の制度や市場への影響も踏まえつつ、総合的に検討する。」
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大綱での位置づけは、今後の検討課題なので、今年から課税されるわけではありません。
ただ、実施されたら、個人投資家には大きな影響があるので、今回、課税内容について考えてみました。
★キーワード：税の垂直的公平
租税３原則は「公平・中立・簡素」ですが、このうち公平には、垂直的公平と水平的公平があります。
水平的公平は、同じ所得なら同じ税負担が公平ということです。
また、垂直的公平は、所得が異なるなら、税負担も異なるのが公平ということで、累進課税の根拠となっています。
今回の大綱では、この垂直的公平に焦点があたっています。
現在の証券税制は、株式の売買益や配当益に対し、金額にかかわらず一律に約２０％の課税がされています。
今後は、高所得ほど負担が高くなる累進課税の方向で、検討されることになりそうです。
最近の増税の傾向は、高所得者ほど増税される傾向があることから、金融所得も、累進課税になることは十分に有り得そうです。
★キーワード：諸外国の制度
大綱のなかでは、諸外国の制度も踏まえ、検討するとされています。
日本以外の主要国の証券税制は次のとおりですが、給料などの所得とあわせて、累進課税となっている国が多いです。
・アメリカ
所得が増える部分ごとに課税される段階的課税方式です。
給与、配当、長期の株式売買益の順に積み上げて、合計所得が約４百万円以下の部分は課税ゼロです。
また、約５千万円以下の部分は１５％、それ以上は２０％が課税されます。
さらに、州・地方政府税が別途課税され、たとえば、ニューヨーク市の場合は、最大１２％の課税となります。
・イギリス
所得が増える部分ごとに課税される段階的課税方式で、給与、配当、株式売買益の順に積み上げた合計所得で課税されます。
配当金は、合計所得が約５百万円以下の部分は１０％、約３千万円以下の部分は３２．５％、それ以上は３７．５％が課税されます。
また、株式売却益は、合計所得が約５百万円以下の部分は１８％、それ以上は２８％が課税されます。
・ドイツ
現行の日本と同じ分離課税ですが、税率は約２６％です。
・フランス
給与所得などとあわせて課税される総合課税なので、所得税の累進課税が適用され、税率は約１５～６０％です
★金融所得への増税方向は変わらなそう！
大綱のなかでは、「家庭の安定的な資産形成の支援」「証券市場への影響」も踏まえて検討するとされています。
貯蓄から投資という国の大きな政策があります。
また、アベノミクス以降の経済重視、株価重視政策もあるので、株式市場への極端な悪影響はさけるものと思われます。
ただ、消費税の軽減税率導入による税収減の補完のために、増税の財源を探しているという報道もあります。
高所得者への増税の流れがあるなかで、金融所得に対しても、アメリカ、イギリスのような累進課税が導入される可能性は高いと思います。
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■ 金融所得の増税時への対応は！
このような金融所得への増税があれば、配当金投資にとって大きな痛手となります。
仮に、イギリスと同じくらいの増税であったら、僕の場合は、現行の約２０％⇒約３０％への増税となります。
税制変更に対して、個人でできることは限られます。
ただ、貯蓄から投資の流れのなかで、ＮＩＳＡなどの非課税制度は、引き続き、国としても推進するものと思われます。
ＮＩＳＡ枠は５年間で６００万円、ジュニアＮＩＳＡ枠は年間８０万円、さらにイデコなども活用していきたいです。
また、インデックス積立投資などでも、税制を踏まえた上手な取り崩しが重要になりそうです。
今後の制度検討のあり方を見守っていきたいと思います。
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